The Japanene Association to Promote Thank You Movement

ありがとう五輪ニューズレター創刊に当たって

ありがとう五輪ニューズレター 創刊号(ホームページ版)

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「ありがとう五輪ニューズレター」は、「日本ありがとう運動促進協議会」(2009年9月9日発足)の情報交換のための会報です。

ありがとう五輪ニューズレター創刊に当たって

勝俣 暎史

日本ありがとう運動促進協議会代表

(熊本大学名誉教授・国際医療福祉大学大学院教授臨床心理学)

1.日本ありがとう運動促進協議会

 私どもは、2009年(平成21年)9月9日(999 : サンキュウーの日)に、「日本ありがとう運動促進協議会」を設立しました。この会の目的は、日本の隅々まで、「ありがとう運動」(“ありがとう”という言葉を、できるだけ多<(できれば1日に20回以上)声を出して周りの人々に言う運動)を広めるための方策を協議しようとする会です。
  「“ありがとう”は、魔法の言葉」と言われていますが、これまでに数多の人々がその大切さを指摘しています。斉藤茂吉の「いい言葉はいい人生をつくる」によると、「ありがとう」を多く言うと、ストレスが少なくなる。イギリスでは、「サンキュウー」「プリーズ」「エクスキューズミー」の三つの挨拶こそ、ジェントルマンを象徴する言葉だと言われている、という。イギリスに限らず、アメリカ合衆国でも、言葉や文章の終わりには、必ず「サンキュー」がついています(日本語では少ない)。日本人は、「すみません」とは言っても、「ありがとう」は、なかなか言わないように見受けられます。
 私どもが、子どもから高齢者に及ぶさまざまな年齢層の人々を対象にして、「日常生活の中で、どの位『ありがとう』を声に出して言っているか」についての調査や行動観察を試みました。それらの調査や観察によると、ほとんどの人は、1日に5回以内しか「ありがとう」を声を出して言っていないこと、バスを降りる時に、運転手さんに「ありがとう」と言って降りる人は、100人中2、3人に過ぎないこと、毎朝、駅まで車で(両親などに)送ってもらった高校生のほとんどは、無言のまま、後ろ手でドアを締めて立ち去っている実態を目にしてきました。
 平成19年9月9日(39 : サンキュウの日)にスタートした「東京ありがとう療法研究会」の報告によると、(1)何らかの悩みをかかえている人の多くが、ほとんど「ありがとう」を言っていないこと、(2)「ありがとう」と声を出して周りの人々(家族、近所の人々、勤務先の同僚など)に言えるようになるにつれて、元気を取り戻す(happiness,well beingになる)ことが指摘されています。
 わが国の年間自殺者数は、平成10年以降12年間、3万人を超えています。先進国の中では、飛び抜けて多いと報告されています。10年間で30万人以上の人々が自ら命を絶ってしまっています。児童生徒の不登校、非行・犯罪、成人や高齢者のうつ病や自殺など、問題が山積しています。私どもは、これらの問題に共通しているのは、皆、「幸せhappiness」や「安らぎ感安心well being」を感じられるどころか、「辛い」「苦しい」「いらいらする」「腹が立つ」「空しい」など、耐えられないネガティヴな感情に閉ざされた生活を強いられているからではないか?と考えました。「幸せ」な人が、自殺したり、不登校になったり、非行を働いたりするでしょうか。「幸せ」な人が「うつ病」になるでしょうか?
 私どもが、「ありがとう運動」をわが国の隅々まで広めようとするのは、「ありがとう」(魔法のことば)が、人々に「幸せ」や「安らぎ(安心?あんじん)」をもたらすと信じているからです。
 一人でも多くの人々に参加していただきたいと願っています。

  • 「ありがとう五輪」:日本の隅々(5つの島)、世界の隅々(5大陸)まで、「ありがとう」の輪(話,和、輪)を広めようとする運動

2.「ありがとう」との出会い

1)曾野綾子のテレビでの談話

 2005年12月下旬のある日の夕方、NHKのテレビを見ている時、作家の曽野綾子さんが、「ありがとう」の一言の大切さについて話された言葉が私(勝俣)の心に焼き付きました。曾野綾子さんは、「高齢になるにつれて,いろいろな能力が減退し,人からしてもらわなければならないうとが多くなります.しかし,もし介護をしてくれる人(たとえば,長男の嫁など)に『ありがとう』の一言が言えるならば,その人に大きな力を与えることができるでしょう.『ありがとう』を言える高齢者になって欲しい」と、「ありがとう」の一言の大切さを強調されました。
 私はそれまで、「ありがとう」の大切さについて、真剣に考えたことはありませんでしたが、その時(2005年、平成17年)丁度94歳だった私の母と同居をはじめ、私の妻が食事の世話(三食、おやつ)をしていました。私は、「母はどうしているだろう?」と観察してみました。母は、妻が食事をテーブルの上に運んで行くと、両手を合わせて、「ありがとうございます」と言い、食事が終わると、「ご馳走さま。美味しかったよ」と頭を下げているのに気づきました。妻にそのことを伝えたところ、「だから、私は頑張ってやれているのよ」という言葉が返ってきました。「曾野綾子さんが言われた通りだ!」「なるほど!」と、新鮮な驚きを感じました。
 私の「ありがとう」の一言の大切さへの関心は、その時から始まりました。

2)「ありがとう」の提唱者たち

 (1)曾野綾子:「今日をありがとう?人生にひるまない365日の言葉」(徳間書房)
 (2)斉藤茂太:「『ありがとう』を多く言うと,ストレスが少なくなる」「イギリスでは,サンキュー,プリーズ,エクスキューズミーの三つの挨拶こそ、ジェントルマンシップを象徴する言葉だと言われている」?「いい言葉はいい人生をつくる」(成美文庫)、「心から『ありがとう』といえるだけで元気が出る」(講談社)。
 (3)橋田壽賀子:「央婦は『ありがとう』— 文句は言わない。感謝の言葉は、口に出す」(大和書房)。
 (4)松下幸之助:「ありがとう」という方は、何気なくても、言われる方はうれしい。/「ありがとう」これをもっと素直に言い合おう。/「感謝の心が高まれば高まるほど、それに正比例して幸福感が高まっていく。/感謝があれば必ず成功する。(皆木和義「感謝があれば必ず成功する— 松下幸之助に学ぶ感謝論」綜合法令出版)。
 (5)稲盛和央:利己の精神よりも、利他の精神で日々を過ごせば、周囲の協力が得られて、自分でも不思議なくらいに思ったとおりに事が運ぶものである。/私の原点は、5歳の時に父親と四国八十八ヵ所巡りをしたが、その時教えてもらった「ありがとう」である。(「生き方」サンマーク出版、2004)
 (6)今野由梨:「1日100回.ありがとう運動」/私は、不平不満や恨みがましい気持ちを持っていた。しかし、「足りなかったのは感謝(ありがとう)なのだ」「今、心の中にあるのは感謝の気持ちだけだ。そのことに気づかせてもらったことへの感謝、喜びが胸いっぱいに広がり、シャボン玉のように私を軽やかにしてくれた」(「ベンチャーに生きる」日本経済新聞社)。
 (7)清水英雄:私の「ありがとう」は、虚弱児であった私を育ててくれた母への感謝(ありがとう)から始まった。(「ツキを呼ぶ言葉『ありがとう』の成功法則」綜合法令出版)。
 (8)渡辺美樹:自分の勤める会社を「誇れるよい会社」、「地球上で一番たくさんの『ありがとう』を集めるグループになりたい」、この大胆な野望を胸に、これからも夢に日付を入れつつ、一歩ずつ、一歩ずつ、体の重い亀のように歩んでまいります。(渡邊美樹社長あいさつ、2007)。
 (9)その他:多くの人たちが、「ありがとう」の不思議な威力(魔力)を著書に表してています(追って紹介予定)。

3)哲学、宗教と感謝

 (1)聖書:コリント人への手紙 —「大切なのは,信仰,愛,希望.最後に残るのは愛である」
 (2)道元:「四摂法」(布施,愛語,利行,同事).
 「ありがとう」は「愛語」の一つ.
 (3)ドイツの諺:「過去に感謝、現在に信頼、未来に希望」
 (4)オアシス運動:オ:お早う/ア:ありがとう/シ:失礼しました/ス:すみません

3.「ありがとう療法」の提唱

1)うつ病患者と薬物依存後遺症患者への「ありがとう」の勧め

(1)うつ病患者:Aさん(34歳、男、コンピュータ関係の社員)は、まじめに仕事をこなすことが認められて、数名の部下をもつ部署のマネージャーに抜擢されました。しかし、リーダーシップをうまくとることができず、一人で仕事を抱え込み過ぎて、心身ともに疲れ果て、精神科受診。うつ病と診断され、1年間の休職。投薬を受け、ある程度心身の調子を取り戻したとき、精神科の医師の紹介によって、臨床心理士(勝俣)を紹介された。半年間の記憶療法とありがとう療法の併用による心理療法を受けた結果、無事に会社復帰ができ、スムーズに再適応を果たせた事例である。
 (2)薬物依存後遺症患者:Bさん(23歳、男、契約社員)は、ある地方の農家の次男(3人兄弟)として生まれたが、4歳の時に父母が離婚(姑との不仲)し、父および祖父母の手によって養育された。 20歳の時、母親と再会。はじめは嬉しかったが、やがて、幼い子どもを残して家を出て行った母親への憎しみが込み上げてきて、「母親への恨みを果たしたい」と思うようになったと言う。セラピストが、「母親への恨み」の代わりに、「母親への感謝」(「生んでくれて、『ありがとう』」「育ててくれて『ありがとう』」)を言葉に出して伝えるようにと助言したところ、素直に応じ、母親に電話で、伝えたところ、母親が突然、「ありがとう」「ありがとう」と言って泣き出したという。母親の叫びが、胸にジーンと響き、母を恨む気持ちが消え去ったという。このような気持ちにさせていただいたことを、「ありがとう」と思うと語った。

2)アテネでの国際応用心理学会での出合い(2006年7月)

 (1)橋本泰子先生と木村たき子先生との出合い:
私は、アテネで開催された国際応用心理学会の大会で、橋本泰子先生(桜美林大学教授)と木村たき子先生(東洋学園大学学生相談室)と行動を共にしました。そして、毎日のように「ありがとう」のすばらしさについて語りあっていました。ホテルのフロントの女性から、ギリシャ語で、「ありがとう」は、「エフアリスト」と言い、「どういたしまして」は、「パラカロ」と言うことを教えていただきました。学会主催のパーテイでは、いろいろの国の「ありがとう」を教えていただきました。
 (2)Dian Jones, Ph.D,(ワシントン大学教授)との出合い:
国際学会主催のエーゲ海巡り1日クルーズ(7月20日午後)でご一緒したワシントン大学のDian Jones,Ph.D.(ご央妻)と船の中で話しているとき,彼女は,「Thank you therapy をつくったら…」 と言って笑いました.木村先生も「やってみたい」と言って,メモを取っていました。
 (3)ネガティヴな感情をポジティヴに変える不思議な言葉「ありがとう」の気づき:
 ギリシャから東京に帰える時に、関西空港経由で羽田空港に向かうこととなりました。関西空港で、日本を代表する○○航空の羽田便に乗り換えて、羽田に向かう予定でした。われわれ(橋本、木村先生と勝俣)は、搭乗手続きを済ませてロビーで待っていました。ところが、予定していた便の飛行機のトラブルのために、3回もの搭乗手続きを強いられました。乗客は2列並んで、文句も言わずに素直に3回目の手続きに応じていました。ところが、3回目の搭乗手続きの途中、手続き業務に当たっていた一人の若い女性が、突然、右手を高<かざして、「一列に並んでください」と手で指示したのでした。「お疲れのところ、何回も手続き変更をお願いしまして申し訳ありませんが…」というような謝罪の言葉もなく、唐突でした。しかも、右手で、物を扱うような仕草で、一列に並ぶように指示したのでした。「何と言う失礼な態度だ!」と誰もが感じたことでしょう。搭乗手続きのために2列に並んでいたある男性(Y大学教授)が、「われわれは3回も手続きをさせられているんですよ。何ですか!その態度は!」と大きな声で叫んだとき、われわれも「そうだ!そうだ!」と叫びたい程でした。その女性が、「済みませんでした」とお詫びしたことによって、その場は一応治まりました。
 搭乗手続きを済ませて、待ち合いスペースのソファーに座って、待っていた時、橋本先生が、「Y大学の○○先生、怒ってくださり、『ありがとう』」「手続きの女性、3回も搭乗手続きの練習をさせていただき、『ありがとう』」と、にこにこしながら一人呟きました。木村先生も続けて、「○○先生、怒ってくださり『ありがとう』」「3回も搭乗手続きの練習をさせていただき、『ありがとう』」と呟きました。私も続けて、同じ台詞を呟きました。単なる、暇つぶしの気持ちで。そして、3人で笑っていました。
 ところが、驚いたことに、それまでモヤモヤしていた不快感が、心の中からすっかり消え去っていたのです。3人が顔を見合わせて、「すごい!」「嫌な時にも『ありがとう』だね」と言って、笑ったのでした。ネガティヴな感情も「ありがとう」の一言を口に出して言うことによって、ポジティヴな感情に変えられるとに気づいた瞬間でした。

3)東京ありがとう療法研究会

 ギリシャ組3人(橋本、木村、勝俣)は、すっかり「ありがとう」の魔力に取り付かれ、日本で初めて、もしかしたら世界で初めての「(東京)ありがとう療法研究会」を発足させ、「ありがとう療法」の研究に取り組む「ことになりました。
 (1)「東京ありがとう療法研究会」の発足:2007年(平成19年)3月9日(金)(サンキュウの日) に、「東京ありがとう療法研究会」を発会いたしました(駒滞大学文学部心理学科資料室、10人参加)。その後の月例研究会には、25人程のメンバーが集まりました。
 (2)ニューズ・レターの発行:隔月発行(A4,4ページ)のニユーズ・レターを発行してきました。
 (3)「ありがとう療法」の研究成果
   「東京ありがとう療法研究会」は、2010年(平成22年)3月末をもってしばらくの間休会(世話人の都合で)となっています。しかし、特に強い関心をもつ数名の会員間の非公式の研究会は継続されています。

  • 3年間における主な研究成果は、以下の通りである。

A.「ありがとう」に関する基礎的研究
 01.「ありがとう」の語源、仏教における感謝
 02.「ありがとう:の使用における欧米と日本との文化差
 03. コンピタンス心理学からみた「ありがとう」の効果
 04 認知行動療法の視点からみた「ありがとう療法」
 05. ポジティヴ心理療法としての「ありがとう療法」
B.「ありがとう」に関する心理学的研究
 01. 投影法心理検査にみられる「ありがとう」の効果
 02. 大学生の「ありがとう」の実態調査
C.クライアント・患者に対する「ありがとう療法」の適用
 01「ありがとう療法」の定義・「ありがとう療法」の技法
 02. 児童の家庭教育における「ありがとう療法」の適用
 03. うつ病患者などに対する「ありがとう療法」
 04. 家庭における親子間の「ありがとう」のロールプレイ
 05. レタリングによる「ありがとう」の試み

4.「ありがとう運動」の促進

  われわれは、東京ありがとう療法研究会の活動を通して、いろいろな新しい知見に巡り会うことができました。

1)「ありがとう療法」から得られた知見

 (1)「ありがとう療法」とは、何らかの問題をかかえたクライアント・患者に対して、身近な人に1日に20回以上「ありがとう」と言葉に出して感謝の気持ちを伝えることを通して、心身の安定を取り戻せるように支援する心理療法の一つである。ポジティヴ心理療法の一つでもある。
 (2)「ありがとう」が魔法の言葉と言われる所以は、「ありがとう」の一言で、人の基本的欲求(愛されたい、受け入れられたい、認められたい欲求)が充足され、情緒安定がもたらせれるからである(情緒安定の3A効果、自己カウンセリング効果)。
 (3)「ありがとう」は、人との絆を強める輪(リンク)的役割(触媒)を果たす(ありがとう話・和・輪)。
 (4)「ありがとう」は、ネガティヴな感情をポジティヴな感情に変えられる強力な力をもっている(ありがとうの三級)。

2)家庭・学校・職場・地域社会への「ありがとう運動」の普及

  「ありがとう」と声を出して言う運動が、家庭、学区、職場、地域社会、マスコミ、国会答弁などのあらゆる場で実践されるならば、わが国が直面している種々な問題は、軽減され(防止効果)、ポジティヴな、活気ある国に改善されるであろう。

3) ありがとう運動促進協議会の発展をめざして

 私どもが、「ありがとう療法Jrありがとう運動」に関心をもち始めてから5年以上が経過しました。その間に、「ありがとう」の大切さを指摘した数多<の著作や、個別に行われている多くの「ありがとう」に関わる活動があることを知りました。しかし、それらの貴重な活動が、結集されずに、分散している現状を知り、残念に思ってきました。
 この度、「日本ありがとう運動促進協議会」を設立したのは、何とかして、「ありがとう」運動に関心を持って活動されている方々の貴重な力を結集して、より強力な力として「ありがとう運動」を推進したいと考えたからです。
  「ありがとう五輪」ニュース・レターを通して、「ありがとう運動」を推進しようとされている方々のご意見やご努力を五輪の輪として結集できればと望んでいます。


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連絡先 日本ありがとう運動促進協議会 http://arigatou.cc/
事務局  佐久間伸一 arigatoucpc@yahoo.co.jp

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